大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和30年(あ)2676号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意について。

所論は単なる量刑不当の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人福井盛太、同吉田勧の上告趣意第一点について。

しかし、所論判例はいずれも本件に適切でなく、その余は単なる訴訟法違反の主張であって、適法な上告理由にあたらないばかりでなく、「控訴趣意書を控訴申立をした検察庁の検察官が作成し、これを控訴裁判所に対応する検察庁の検察官が提出することは、少しも訴訟法に違反するものということはできない」ことは、当裁判所大法廷判決(昭和二六年(あ)第一六八八号、同三〇年六月二二日大法廷判決、判例集九巻八号一一八九頁)の明示するところである。

同第二点について。

所論は単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらないのみならず、第一審判決が被告人の所為に対し業務上過失致死罪に問擬したのを相当であるとした原判決の判断は、当裁判所においても、これを肯認すべきものと思料する。

同第三点について。

所論は単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらないのみならず、本件無謀操縦と業務上過失致死の各事実は、公訴事実としては別個の事実であって、所論の如く公訴事実の同一性を認むべきものではなく、また、右両者は、独立別個の犯罪を構成し、右両者の間に牽連関係乃至一所為数法の関係を認むべきものではない。

同第四点について。

所論は単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

同第五点について。

所論は単なる量刑不当の主張で適法な上告理由にあたらない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例